昨年に続いて今年も、 日本の梅雨 (と夏の暑さ) から逃れるべく バンクーバーに滞在した。 昨年の滞在では fido, WIND, Virgin のプリペイド SIM を買ったが、 今年 1月に米国を訪れたとき Project Fi を契約したので、 Project Fi の SIM をバンクーバーでも使ってみた。
Project Fi は米国外で使っても (米国内で使う場合と同じく) データ通信が $10/GB (1MB あたり 1セント) という、 リーズナブルかつシンプルな料金体系。 カナダだと、 何故かキャリアのプリペイド SIM を買うより安くつく。 カナダでは Telus や Bell の通信設備を使ってローミングサービスしているようだが、 Telus や Bell のプリペイド SIM よりも料金が安いのは何故なのか?
バンクーバーのいたるところにキャリアの店舗があるので、 適当に入ってみた店で、 「いま Google の Project Fi を使っているのですが、 Project Fi より安くなるプランありますか?」と (もちろん英語で) 聞いてみたら、 「Project Fi みたいに安いプランはありません!」 と即答されてしまった。(^^;
しかも、 Project Fi の大きな特徴として、 追加料金無しで Data-only SIM を 9枚まで追加できる。 妻のスマホに Data-only SIM を入れておけば、 Project Fi 一契約だけで (私と妻、二人分の) 用が足りてしまう。 Data-only SIM を 9枚入手すれば、 10人で共有できる?
なお、 Project Fi の (通話可能な) SIM は、 Pixel や Nexus に入れて使うことが推奨されているが、 ふつうのスマホに入れても通話やデータ通信が可能。 私はバンクーバー滞在中ずっと、 ZenFone 3 Deluxe (ZS570KL) に入れていた。 もちろん Pixel も持ってはいるのだが、 ZenFone のほうがメモリが多く、 また root 権限を取得済なのでいろいろ使い勝手が良い。
もちろん、 いくら安くても通信速度が遅ければ意味がないので、 その時は現地でプリペイド SIM を買うつもりでバンクーバーを訪れたのだが、 Project Fi でもしっかり LTE の電波をつかんでくれた。 昨年使った fido や Virgin のプリペイド SIM と比べてなんら遜色がない (WIND は 3G のみ)。 結局 27日間のバンクーバー滞在で、 一度も現地 SIM を買おうという気にはならなかった。
Project Fi のページで確認すると、 7月の 24日間のデータ通信量が 7.36GB (私が 2.62GB、妻が 4.75GB) だった。 ホテルの Wi-Fi が使い物にならないほど遅かったので、 ホテルに居るときまで Project Fi を使うことになり、 ふだん日本で 1ヶ月に使うデータ通信量より多くなってしまった。
最近のアプリ (特に facebook, twitter, Instagram など) は、 画像や動画をストレスなくどんどん表示するために、 勝手にどんどん通信するのでいかがなものかと思う (私はこの手の通信しまくりアプリは一切インストールしない)。 滞在したホテルは 「無料 Wi-Fi 完備」 をうたっていたが、 宿泊客がこの手の通信しまくりアプリを使うためか、 夕方以降は全くといっていいほど通信できなくなってしまっていた。
日ごとのデータ通信量は次のような感じ:
日によってばらつきが大きいが、 平均 300MB くらい。 二人分なのでこんなもの? 7.364GB で $73.64 (約 8250円)。 国際電話の通話料が 21分間で $4.20 (約 470円)。 さらに Project Fi の基本料金 $20 と税金等 ($6 くらい?) がかかる。 まだ請求が来ていない (〆日は 8月2日) が、 合計 $104 くらい?
Project Fi で、 カナダから米国の toll free 番号に電話できるのか? と思いつつ 1-888 から始まる電話番号に電話したら繋がったので、 てっきり無料通話かと思って安心して長電話してしまった。 有料なら繋がらないで欲しい (>_<)。 繋がらなければ、 米国外からかけるときに使えるコレクトコール番号を使ったのに。
1分あたり 20セントという国際電話料金は、 ケータイの通話料の感覚からすると安いが、 Google Voice の感覚からすると高い。 ZenFone 3 に Project Fi の SIM を入れて通話したのだが、 Pixel (あるいは Nexus 5X) に入れて通話すれば無料だったのかも?
少なくともハングアウトで発信していれば無料だった。
昨年のバンクーバー滞在は 14日間と今年の半分の日数だったが、 fido の SIM に CA$89.60 (約 7900円)、 Virgin の SIM に CA$72.79 (約 6400円)、 WIND (現 Freedom Mobile) の SIM に CA$72.80 (約 6400円) 支払った。 もし今回 Project Fi がなくて昨年と同様にプリペイド SIM を買っていたら、 昨年の倍、4万円近くかかってしまったかもしれない。
カナダでは、 どのキャリアも 1GB 程度使おうとすると、CA$70 以上かかってしまう。 各キャリア横並びの料金で、 格安SIM 登場前の日本みたいな感じ。 キャリア間の競争がないのかも? どの月額プランを選ぶかでデータ通信の課金レートが変わってくるので、 最適な月額プランを選ぶのが難しい。
これに対し Project Fi は、 どんなに使っても 1MB あたり 1セントの単一課金レートなので分かりやすいし、 課金レートだけ比較すると、 カナダのどのキャリアよりも安い (例えば比較的安価な Virgin でも 2¢/MB)。
ただし Project Fi はプリペイド SIM ではなくポストペイ SIM なので、 米国に住所がないと契約が難しいかも? 私の場合はホテルの住所で契約することができた。 私は米国の銀行が発行したクレジットカードで払っているが、 日本のクレジットカードで契約できるかどうかは不明。
また、ポストペイなので当然だが、 使わなくても毎月基本料金 ($20 と税金等が $3 ほど) がかかる。 日本でもローミングサービスが利用できるが、 日本だと 1¢/MB という課金レートは (格安 SIM と比べると) 安いとは言えず、 常用には向かない。
日本に居るときは基本料金が無駄になるなぁ、 $23 というのは無駄に払う額としては安くないなぁ、 と思いつつ (今年 1月に) 契約したのだが、 実は Project Fi の契約は一時停止できる。
一時停止中は、 データ通信ができないのはもちろん、 通話の着信もできなくなるが、 いまどき通話なんてできなくても困らない。 Google Voice の番号は他にも持ってるし。 :-)
というわけで今年 3月1日に一時停止した。 停止/再開は Project Fi の Web ページからいつでも可能。 3ヶ月後に自動で再開してしまうが、 その直後に停止すれば基本料金はほとんどかからない。 3ヶ月後の 5月30日に自動再開したが、 6月4日に停止し、 バンクーバーを訪れる直前 6月27日に再開し、 日本に帰国してから停止した。 自動再開した直後に停止することさえ忘れなければ (自動再開を知らせるメールが届くので見落とさなければ大丈夫)、 使っていない期間の基本料金をほぼゼロにできる。
8/7 追記:
8/2 の〆日を過ぎたので請求額が確定した。 Project Fi を今年 2/2 に契約して以来、 丸 6ヶ月が経過した。 現在までの請求額 (前述した国際通話料金を除く) をまとめてみる:
〆日 | 米国内 | 米国外 | データ料金 | 基本料金 | 税など | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
2/2 | $10.00 | $20.00 | $3.02 | $33.02 | ||
3/2 | 968 MB | 2 MB | -$0.30 $0.00 | -$0.56 $0.00 | -$0.25 | -$1.11 |
7/2 | 2618 MB | $26.18 $10.00 | $3.21 $20.00 | $5.35 | $64.74 | |
8/2 | 7363 MB | $63.63 $0.00 | -$4.41 $0.00 | $2.29 | $61.51 | |
合計 | 968 MB | 9983 MB | $109.51 | $38.24 | $10.41 | $158.16 |
この 6ヶ月間のうち、 1ヶ月をハワイで過ごし (日本の寒い冬を避けるため)、 1ヶ月をカナダで過ごした (日本の蒸し暑い梅雨を避けるため)。 残り 4ヶ月は日本に居たので Project Fi を一時停止した。 したがって基本料金は約 2ヶ月分 ($20 * 2) しか払っていない。
データ料金 (データ通信料金) と基本料金の欄が上段/下段に分かれているが、 上段が後払い分 (〆日までの 1ヶ月間の利用料, ポストペイ) の額で、 下段が前払い分 (〆日から 1ヶ月間の利用料, プリペイド) の額。 つまり前月の前払い分と〆日の後払い分の合計が、 〆日までの 1ヶ月間の利用に対応する料金になる。 2/2 は契約開始日なので (契約日までの) 後払い分は無い。 マイナスの金額は払い戻し。
払い戻しによって合計額がマイナスになる場合 (3/2 請求分) は、 次に請求額がプラスになった月 (7/2 請求分) から減額される ($64.74 から $1.11 を減額した $63.63 が実際の請求額になる)。
「税など」 の内訳 (ハワイ州の場合) は次の通り:
2/2 | 3/2 | 7/2 | 8/2 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
State 911 Tax E911税 $0.66 | $0.66 | -$0.66 | $1.32 | -$0.66 | $0.66 |
State Sales Tax 州税 (売上税) 4% | $0.81 | $0.41 -$0.02 | $2.04 | $3.09 -$0.18 | $6.15 |
County Sales Tax 郡税 (売上税) 0.5% | $0.10 | $0.05 | $0.26 | $0.39 -$0.02 | $0.78 |
PUC Fee 公益事業委員会費 0.5% | $0.10 | $0.00 | $0.12 | -$0.02 | $0.20 |
Telecomm Relay Systems Surcharge 電話リレーサービス負担金 | $0.02 | $0.00 | $0.03 | -$0.01 | $0.04 |
Federal Universal Service Fund ユニバーサル サービス負担金 | $1.20 | -$0.03 | $1.42 | $0.01 -$0.27 | $2.33 |
Federal Regulatory Assessment Fee 規制アセスメント費 | $0.13 | $0.00 | $0.16 | $0.00 -$0.04 | $0.25 |
E911税は、 911緊急通報 (日本でいう 119番通報) の際、 携帯電話の位置を追跡するシステムを整備するための税金。 ユニバーサルサービス制度は日本でも導入されている (日本より桁違いに高額) が、 電話リレーサービス負担金 (Telecomm Relay Systems Surcharge) は、 聴覚障碍者のために音声を文字 (TTY, テレタイプ) あるいは手話に変換する福祉サービスを支えるための負担金。 マイナスの金額は払い戻し。
基本料金は前払いなので 2/2 (Project Fi 契約開始日) に $20 を払っているが、 3/1 に Project Fi の利用を停止したので 3/2 の〆日までの 1日分 (正確に言うと 19時間分) 56セントの払い戻しがある。 同様に 7/2 に $20 払っているが、 7/26 に停止したので 8/2 までの 6日間と 21時間分 $4.41 の払い戻しがある。 基本料金の払い戻しにともない、 税なども払い戻されている。 〆日において利用を停止中の場合 (3/2 と 8/2) は、 〆日以降の基本料金の前払いは請求されない。
逆に月の途中 (〆日から次の〆日までの間) で Project Fi の利用を再開した場合は、 その時点から〆日までの基本料金の日割額 (日単位じゃなくて時間単位なので時間割額?) を〆日に後払いする。 6/27 に再開したので、 6/27 〜 7/2 までの 4日間と 20時間分 $3.21 を払った。
データ料金は 0.001GB あたり 1セント。 したがって正確には 1.024MB あたり 1セントだが、 ここでは簡単のため 0.001GB を 1MB と表記している。
データ通信は 1GB 分が前払いなので 2/2 に $10 払っているが、 2/2 〜 2/23 の期間において米国で 968MB (正確には 0.968GB なので実際は 991MB, 以下同様) 使い、 そのあと日本に帰国してから 2MB 使った。 計 970MB で、 1GB の残り 30MB を使わなかったので、 未利用分 30 セントの払い戻しがある。
また、 7/2 に $10 を前払いしているが、 7/2 〜 8/24 の期間において 7363MB も使ってしまったので、 1GB を 6363MB も超過してしまった。 したがって 8/2 に超過分 $63.63 を後払いしている。 基本料金と同様、 〆日において利用を停止中の場合は、 〆日以降のデータ通信料金の前払いは請求されない。
月の途中で再開した場合は、 その時点から〆日までのデータ通信量を〆日に後払いする。 6/27 に再開したら、 〆日の 7/2 までわずか 5日足らずなのに 2617MB も使ってしまった。 これは、 カナダ到着後にホテルの Wi-Fi のあまりの遅さに業を煮やし、 Project Fi の SIM を入れたスマホのテザリングを有効にして PC を接続したら (6/29)、 勝手に別のスマホが Wi-Fi 接続してきて大量のデータ通信 (アプリの更新と同期) を行なったため。
Wi-Fi 接続先が (テザリングな) スマホだとキケン。 Wi-Fi 接続時に自動で更新/同期する設定は一般的だと思うので、 テザリングを行なうときは他のスマホがどんな状態にあるか注意が必要。 さらに、 Windows PC が Wi-Fi 接続して Windows の更新 (のためのダウンロード) を始めたりしたら目もあてられない。
7/2 は前払い額も加わるので請求額が高額になった。 カナダ到着早々 $63.63 もの請求額を見て驚いてしまい (たった 4日で 60ドル?! @_@)、 以後テザリングの使用には慎重になった。 前払い額を除けば $30 程度なので、実は大したことはないのだが、 当時は Project Fi の料金体系を充分理解できていなかった。
Project Fi はデータ通信の前払い額を設定できるが、 余れば払い戻しされるし、 超過すれば後払いになるので、 はたして前払い額を設定する必要性があるのか疑問。 前払い額をいくらにするかは、 契約時に悩むポイントでもあるので (悩んでるうちに契約をためらってしまうかも?)、 前払い額を設定させず全て後払いのほうがいいのではないか? 私は、 前払い額を設定させておいて後払いもできるのはヘンだ、 何か理解できてない仕組み (落とし穴) があるのではないか? と疑心暗鬼になってしまっていた。
もちろん前払いした $10 は米国内でのデータ通信だけでなく、 米国外でのデータ通信にもそのまま同じレート 1¢/MB で使える。 だから極端な話、 米国で全くデータ通信しない場合 (米国の他のキャリアの SIM を使う場合) でも Project Fi を利用する意味がある。
Project Fi は米国内では T-Mobile の MVNO なので、 (at&t などと比べると) 使い勝手がいいとは言えない。 なので、 あまり米国内向けサービスであることを強調しないほうが (ローミング専用と言うのは言い過ぎであるにしても) いいのではないか?
Project Fi というと、 米国内向け、 基本料金が必要、 Pixel/Nexus 向け、 というイメージが強すぎるのではないか? 少なくとも私にとっては、 米国内ではさほど魅力的なサービスとは言えず、 米国外 (特にデータ通信料金が高い国) でこそ真価を発揮するサービスだと思う。
しかも、 一時停止できるので Project Fi が必要ない国 (データ通信料金が充分安い国) に滞在している期間は、 基本料金を払う必要がない。
また、 Project Fi の SIM は Pixel/Nexus 以外のスマホでも全く問題なく使えるわけで、 Pixel/Nexus を使っていない人にとっても有用なサービスだと思う。 実際カナダ滞在中は、 ずっと ZenFone 3 と Galaxy Note 5 で利用していた。
なお、 Project Fi の SIM を普通のスマホ (or タブレット等) で使うには、 APN として 「h2g2」 を設定する。
私も米国内では主に at&t のプリペイド SIM を使ったので、 Project Fi は 968MB しか使わなかった。 いっぽう、 カナダでは 9981MB (約 10GB !) も使った (日本で 2MB)。 6ヶ月で計 10951MB (約 11GB) 使ったのでデータ通信料金は合計 $109.51 だった。 1MB が 1セントなので、データ通信料金の計算が容易。
これに約 2ヶ月分の基本料金 $38.24 と税金など $10.41 が加わって、 6ヶ月の支払合計が $158.16 (国際通話料金を除く) になった。 約 $160 というと高いようにも見えるが、 これは 2人で使った合計額なので 1人あたりだと $80 となり、 半年間 (利用したのは 2ヶ月間) の合計と考えるとリーズナブル。